標高差:登り1,289m、下り1,719m
北海道利尻富士町
登り:3時間47分
下り:2時間56分(港まで3時間45分)
前日の移動
大雪山旭岳を下山後は300kmを走り16時40分に稚内に着く。 無料駐車場に車を停め、フェリー乗場に行き明日の始発時間と発券時間を確認する。
利尻島への始発は6時30分、発券は5時より、込み具合が判らないので一番に乗り込むつもり。 車に戻り大型ホテル、民宿に囲まれた駐車場でレトルトのカレーを温めて夕食とする。
気温23℃、涼しくて気持ちが良い。
稚内から利尻島鷲泊港へ
4時に目覚めると天気予報通り小雨が降っている。 コンビニを探す為に稚内市内を車で走るが、稚内のコンビニは24時間営業でなく、どこも開いていない。
5時になると開店する店があったので朝食のパンと昼のおにぎりを買う。 6時30分始発のフェリーはツアー客がいたが混雑することなく乗船出来た。 鷲泊港までは1時間40分の船旅、途中、カモメのパフォーマンスが退屈を柔いでくれた。
今日の温泉
19時10分に下船後は先ずは給油をする。 北海道の道は信号が少なく16km/L走ってくれた。 先ずは温泉を探しながら宗谷岬の方向に車を走らせるが温泉は見当たらない。
とある民宿に日帰り 入浴可の表示があったので飛び込む。 料金500円、温泉ではあるが民宿の小さなお風呂。 ここで食事を頼むが夜8時を回っているので断れた。
今日の寝床
オホーツク海沿いに国道238号線を走っていると道の駅 ”猿払”があったのでここを今日の寝床にする。 普通、駅の道は車中泊する車で一杯であるが、ここには3台しかいない。 ここまで飯屋が開いておらず、ラーメンライスを作って餓えを凌ぐ。 テレビで若者に人気だとやっていた即席ラーメンを食べた後にご飯入れて食べるのであるが、これがうまい。 寒い位の涼しさの中、寝酒を呑んで22時に寝る。 明日は移動だけだ。
トータル:7時間59分 (休息時間含む)
高くついたタクシーを降りて8時46分に沓形コース登山口から
登り始める。 見返り台園地は登山口より少し上にあり行かなかった。 多分、展望台があるだけだと思う。
登山口には崩壊箇所の注意点が書かれていたが、通行止めになっていない
以上は通れるのだろう。 崩壊マニアとしてはここを見たくてこのコースに
来たのだから。
登山口からは下り道となり、小さな沢を渡ってから登りになる。
登山道はここ数日の雨でヌタヌタになっており滑り易い。
39分で ”五葉の坂”に着く。 ここが6合目となる。
ハイマツ帯に入るとハイマツの背が高く半薮扱きの様な歩き
となり面白くないコースだった。
1時間21分にて ”礼文岩”に着く。 楽しみにしていた
礼文岩であるが、踏み台になる小さな岩があるだけだった。
ここから ”礼文島”を見ろと言うのか?
8合目手前から登って来た尾根を振返り見る。 ガスは依然切れてくれない。
2時間40分にて ”三眺山”(1,461m)に着く。
三方に高い山が見えるので三眺山の名が付いたらしいが、
残念ながらガスでは何も見えなかった。
3時間12分にて ”崩壊帯”の核心部に着く。
ロープを張ってくれているが足を置く度に足元の土石が落石していき、気を張り詰めながら通過する。 幸い上部からの落石は無かったが状況次第では本当に危険な場所ではあった。
ロープが張っていなければ怖くて渡れない。
今日はガスでこの山容が撮れなかったので
”利尻島リアルタイム”から無断借用しました。
このHPを見たとき ”沓形コース”は止めようかと
一瞬思った程、危険度を掲載している。
残雪時は本当に危なそうな感じがする。
3時間28分にて ”鷲泊コース分岐点”に着く。 ここから山頂までは、今まで経験
したことが無い程のザレ場で、”1歩進んで半歩下がる”ことの繰り返しとなる。
下山者には滑って転倒する人が多かった。
逆光気味であるが、ザレ場から山頂の神社とローソク岩を見る。
3時間47分を要して ”利尻岳北峰”(1,719m)に着く。
多くの人は利尻島に前泊して早朝から登った為、既に下山しており、山頂には3名しか居なかった。 早朝から登った人の中にはガス切れを3時間待って諦めて下山した方も居られたとか。
山頂は快晴になったが麓は雲海で展望は得られない。
利尻岳の最高峰は ”北峰”ではなく ”南峰”(1,721m)であり
”南峰”の方が2m高い。 ”南峰”への道は通行止めになっているが最高峰に登りたくて行ってみると道が途中でなくなっており諦めた。
”南峰”への立入禁止の道は一面のお花畑だった。
新日本海フェリーは稚内〜利尻島52kmを1時間40分で
連絡している。 料金は2等にて片道1,980円也。
航行を始めるとカモメが沢山寄ってくる。 船内には ”えさをやらないのが愛情”と大きく書かれているがおばさんはお菓子をポンポン与えている。 手元まで取りに来るのが可愛くて止められないのだろう。
天気予報は外れていい天気になったが、利尻岳山頂は厚いガスで
覆われている。 雨が降らないだけでも良しとするしかない。
鷲泊下船後は
港ではタクシーの奪いやいになると思いや、誰もタクシーに乗ろうとしない。 靴、ザックを見て登山者を探すがほとんど居ない。 2人程にタクシー同乗の声を掛けるが、沓形コースは危ないからと断られた。
タクシーに乗れない程の混雑を予想していたが、1人でタクシーに乗るはめになるとは予算的に残念だった。 年老いた運ちゃんと話しながら見返台登山口まで行ってもらうと4,690円だった。
これは想定外の出費で痛たかった。 登山口は見返台より少し下にあり、登山口で降ろしてもらったので見返台とはどんな所なのか見ていない。
沓形登山口 |
6合目五葉の坂 |
避難小屋 |
礼文岩 |
回収トイレ |
馬の背 |
三眺山 |
背負子投げ |
崩壊帯 |
分岐点 |
山頂 |
8:46 |
9:25 |
9:50 |
10:07 |
10:22 |
10:57 |
11:26 |
11:33 |
11:58 |
12:14 |
12:33 |
山頂 |
分岐点 |
9合目回収トイレ |
避難小屋 |
長官山 |
7合目七曲 |
5合目 |
ポン山分岐 |
甘露泉 |
鷲泊登山口 |
鷲泊港 |
13:00 |
13:13 |
13:30 |
13:49 |
14:00 |
14:30 |
14:59 |
15:42 |
15:43 |
15:56 |
16:45 |
1時間04分にて ”避難小屋”に着く。
水場はなくトイレは携帯回収式で本当の避難小屋であった。
天気は良くなり蒸し暑くなってくる。 山頂は相変わらずガスって見えないが利尻の
海岸線は良く見える様になってきた。 靄っているので写真には乗らないが、
肉眼でも高度感無く大した景観ではなかった。
避難小屋裏にあった携帯回収トイレ。
実際にはトイレでは無く、携帯トイレ回収ブースとなっている。
避難小屋前の ”見晴台”からはガスって大展望は得られなかった。
好きな花である ”タカネシオガマ”
”ラショウモンカズラ”
背負子投げのくさり場であるが、期待した程の難所ではなく、
ごく普通の楽に下れる斜面であった。 6合目でワンゲル7名を
抜いた以外はここまで誰にも会わず、人の入っていない写真は
高度感が出ず残念である。
”三眺山”からは急峻な尾根道となり、2時間47分にて
”背負子投げ”に着く。 背負子を投げ捨てる程の難所から
名が付いたらしい。
トラバース路は道が見えないほど草木で覆われ、これが百名山の道かと思うほどの薮扱きが続く。
夜露でズボンはずぶ濡れ。ザックを背負わないアスリート的な登山者が駆け抜けて行った。早い!
背負子投げからは急峻な尾根道となるが、潅木、草木が茂り高度感、恐怖感が
まったく湧かない。 これで樹木がなければどんなにすばらしい登山道かと思うが、
これでは・・・の感じであった。
間近に見る ”ローソク岩”の周辺には
お花畑が広がっていた。
”南峰”側から見た ”北峰”。 山頂の周辺は急峻な崖であり立入禁止は
うなずけた。 一面にお花が咲き誇っている。
岩盤に咲く ”エゾツツジ”は目を瞠る。
山頂直下から振り返り見た岩峰。 ここから恐怖のガレ場下りが始まる。
下山時、シマリスを見るが動きがすばやく写真には撮れなかった。
山頂では新潟から来られた御夫婦と話しながらお昼とする
何故か花があり過ぎて花の写真をあまり撮らなかった。
鷲泊コース下山時に登って来た ”沓形コース”の尾根筋を見る。
鷲泊コースは登山道が真っ直ぐに山頂まで伸びている。
この山容を見ながらの登りは精神的にきついものがある感じがした。
山頂から下山49分で ”避難小屋”に着く。
沓形コース程ではないが鷲泊コースも結構、半薮扱きの嫌な道が続く。
”長官山”(1,218m)から鷲泊コースの尾根道、鷲泊港、礼文島を見る。
今朝、登って来た ”沓形コース”の尾根筋を見る。
勇敢な女性
長官山手前のピークで御夫婦と喋っていると、横から ”港で会った人ですよね!”と話し掛けてきた。 一瞬何を言っているのか判らなかったが、下船時に一緒にタクシーで沓形コースに行かないかと誘った女性だった。 優香にそっくりなこんな可愛い顔を忘れるなんて失礼しました。
今頃登ってきた彼女は避難小屋に泊るらしい。 水場も無く、トイレも無い非難小屋に泊るとは
勇気のある女性だし、携帯トイレでのウンコお持ち帰りが似合わない。
ポン山分岐から直ぐの所に日本百名水の ”甘露泉”があった。
実は今日は雨予報であったので、飲み水は900ccしか持っておらず、
予想外の暑さで飲み水は山頂で飲み干していた。 水の味はどうでも
良く、一気に500ccが喉の奥に入っていった。
下山2時間42分でポン山分岐に着く。
今日のフェリーに乗りたいので寄り道せずに下山する。
帰りのフェリーから見た ”利尻岳”。
険しく面白い山だったが、薮扱きの道はこりごりだ。 あの山頂から4時間弱で
海岸線まで降りれる人間の力は捨てたもんではない。 と一人関心する。
”甘露泉”からは遊歩道となり、程なく鷲泊コースの登山口である
”利尻北麓野営場”に着く。 まだ15時56分、フェリーの最終便は
17時39分なので歩いて行っても充分間に合う。
海抜0mの港までまで歩くことにした。
利尻岳は始発のフェリーに乗って最終のフェリーで稚内に帰れるのか不安だったので、利尻島での1泊を覚悟で予定を組んだが、天候が良ければ余裕を持って帰れることが判った。
'06年度の北海道遠征
深田久弥著の「日本百名山」から
礼文島から眺めた夕方の利尻岳の美しく烈しい姿を、私は忘れることが出来ない。 海一つを隔ててそれは立っていた。 利尻富士と呼ばれる整った形よりも、むしろ鋭い岩のそそり立つ形で、それは立っていた。
岩は落日で黄金色に染められていた。 |
『日本百名山』 深田久弥さんの言う ”利尻岳は海上に聳えている。” は本当だった。
Road Map :稚内港から利尻島の鷲泊港まで連絡船に乗り、タクシーで踏型コース登山口まで行く。
Route Map:見返台からの沓形コースから登り、利尻北麓野営場からの鷲泊コースを港まで下る。
キャンプ場を抜けて鷲泊港まで一般道を歩いて行く。
民家の軒先に高山植物の ”リシリヒナゲシ”が咲いていた。
質素できれいな花だ。
りしりだけ
登山道は展望の利かない針葉樹林帯に入って行く。
山頂部にはガスが乗ってしまっている。
山頂に着く頃のガスの状態が気になる。
登山道から ”利尻岳”山頂から海岸まで続く渓谷を見る。
稚内港フェリー乗場の駐車場風景。
利尻岳を見ながらの船旅を楽しみたかったのだが・・・
フェリーに付いて来るカモメ君。
”踏形コース”の登山口は直ぐに判ったのでまずは一安心。
前方が開けたと思ったら、笹原の道となって来た。
マイナーな登山道だからか、百名山とは思えない登山道が続く。
海岸線にはガスが立ち込み、”礼文島”が見えるのかどうかは確認出来なかった。
ガスで位置確認にしたいが ”鷲泊港”が見えないので、まったく同定出来なかった。
ガスが上がって来て三眺めの絶景を見ることは出来なかった。
名前が付いているのか判らないピークへ登り返して行く。
フェリーから ”利尻岳”を見る。
2023年11月28日改定